ラブ パラドックス
*
凛子の実家近くに、葉月家の先祖代々が眠る墓地があった。
それらは立派で数も多く、葉月家がいかに名家であるかが、疎い俺でもわかった。
その中でもひときわ大きく新しい墓前に立ち花を供え、水受けに水を入れ、一通りの作業を終えたあと、二人並んで手を合わせた。
大音量のセミの鳴き声が降ってくる中、凛子が口を開いた。
今日の凛子は昨夜と違い、涙の代わりに笑顔がある。
「お父さん。今お付き合いしてる夏目陽くんです。今日はお父さんに会うために、ここまで運転してきてくれたんだよ」
「初めまして。夏目と申します。凛子さんとお付き合いさせていただいてます」
「まじめか」
深々と頭を下げた俺に対して、笑いながら言葉を続ける。
「陽はお母さんが倒れたときに、一緒にいてくれて、大丈夫だよって励ましてくれたんだよ。すごく心強くて、陽のポジティブなところに何度も救われた。最初はぶっきらぼうなしゃべり方だし、言葉足らずだったんだけど、付き合ってからは全然そんなことなくて、私も素直になれてます。でね、べったべたに甘やかされてます」
「甘やかしてねえわ。これが俺の通常運転」
「ねえお父さん。陽ってかっこいいでしょ?でもね、私が惹かれたのは中身なんだ。人間がかっこいいの。名前の通り、太陽みたいな人です」
凛子の実家近くに、葉月家の先祖代々が眠る墓地があった。
それらは立派で数も多く、葉月家がいかに名家であるかが、疎い俺でもわかった。
その中でもひときわ大きく新しい墓前に立ち花を供え、水受けに水を入れ、一通りの作業を終えたあと、二人並んで手を合わせた。
大音量のセミの鳴き声が降ってくる中、凛子が口を開いた。
今日の凛子は昨夜と違い、涙の代わりに笑顔がある。
「お父さん。今お付き合いしてる夏目陽くんです。今日はお父さんに会うために、ここまで運転してきてくれたんだよ」
「初めまして。夏目と申します。凛子さんとお付き合いさせていただいてます」
「まじめか」
深々と頭を下げた俺に対して、笑いながら言葉を続ける。
「陽はお母さんが倒れたときに、一緒にいてくれて、大丈夫だよって励ましてくれたんだよ。すごく心強くて、陽のポジティブなところに何度も救われた。最初はぶっきらぼうなしゃべり方だし、言葉足らずだったんだけど、付き合ってからは全然そんなことなくて、私も素直になれてます。でね、べったべたに甘やかされてます」
「甘やかしてねえわ。これが俺の通常運転」
「ねえお父さん。陽ってかっこいいでしょ?でもね、私が惹かれたのは中身なんだ。人間がかっこいいの。名前の通り、太陽みたいな人です」