ラブ パラドックス
「そう言ってもらって嬉しいけど、昨日も言ったけど、俺しょーもない人間だぜ?一回人生終わったレベルの挫折経験してるし、些細なことで嫉妬したりする小さい男ですお父さん」

「じゃあさ。私だけの太陽ってことで。名付けてくださったご両親の願いが叶ったね」


炎天下だっていうのに、お父さんの前だっていうのに、抱きしめたくてしょうがない。

好きで好きでどうにかなりそうだ。


俺のほうが凛子に救われている。

お前にそう思ってもらえて、お前にすげえ幸せもらってる。

志半ばにして挫折した、言葉に言い表せられない劣等感やコンプレックスの塊だった俺が、こんなに幸せに包まれるなんて信じられない。


ーーと、占い師の言葉が脳内に現れた。

わかってる。もう悩まない。


「一緒に暮らさないか?もちろんその先を見据えて」

「それって...同棲?」

「ああ。本当はだいぶ前から考えてた。でも仕事が一緒で家に帰っても一緒だと、凛子が嫌がるかもしれないと思って今まで言えなかった。でももう悪いけどそんなのどうでもいい。俺、お前と暮らしたい」

凛子は本当に驚いたようで固まっている。

なんだよ、「うん」とか「はい」とか言ってくれ。って、どっちも肯定だけど。
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