ラブ パラドックス
俺たちは偶然にも誕生日が一週間違いで来月だ。


「えー何が欲しいかな。改めて聞かれるとわかんなくない?」

「まあそれはゆっくり考えるとして、それとは別に指輪を贈りたい。と言うより、俺が買った指輪を身に付けてほしい」

「指輪…」

「今はまだこっちだけど」


そう言って凛子の右手を取る。自分のと比べて細すぎる指。やっぱりこんなの、わかるわけねえわ。

「サプライズじゃなくて悪かったな。指輪ってサイズがあるんだろ?好みもあるだろうから、お前好みでジャストな指輪を買える気がしない」

「あ、ううん。そう思ってくれてるってことが嬉しくてびっくりして放心」


付き合ってる彼女に指輪をプレゼントしたい。

それはろくに恋愛経験のない俺の、ベタで恥ずかしいクソかっこ悪い行為かもしれないけど、他人がどう思おうとどうでもいい。

凛子が「重い」と嫌がらず、喜んでくれさえすれば。

ついでに彼氏持ちを無言でアピールしてくれる効果にも期待だ。


占い師の言葉が俺を後押しする。光しか見えないって、最強だろ。
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