ラブ パラドックス



「生まれてはじめて。彼氏に指輪買ってもらったの」


凛子のことだから、彼氏とのイベントは一通り経験済みだと思っていた。そうか。初めてか。いや、これは嬉しい。

指輪のお返しにと、スマホと連動する腕時計を買ってもらった。前から欲しかったものだ。


まだついさっきまでの余韻があからさまに残るベッドの上で、裸でブランケットに身を包んだ凛子が、指に光る真新しい指輪を眺めている。

その姿を見ているとまた凛子を抱きたくなって、その横に座り、勢いよくブランケットをはぎ取った。


「もう!」


凛子の上に覆いかぶさって、もう一回しよう、と俺なりに誘いのキスをする。


「ねえ!誕生日旅行行かない?プレゼントの代わりにちょっと贅沢な。美味しいもの食べて飲んで、温泉はどう?」

「お前は飲まなくていいけどな」

「えー飲ませてよ。ほらほら。ほろ酔い凛子ちゃんが浴衣で色っぽくなっちゃう姿見たくない?」

「泥酔凛子ちゃんがトイレで吐いて浴衣汚してる姿の間違いじゃねえのかよ」

「それ悪口!」

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