ラブ パラドックス
【番外編】Is this LOVE?
―side Hikaru―


事業が拡大するにつれ、裏方の業務に追われる日々。月の半分は上京し、雑誌やテレビの取材。それからショーや雑誌用にモデルのヘアスタイリングとメイク。専門学校の外部講師もしている。

親に勘当され、認められたくてがむしゃらに働いて会社を大きくした。

でも、勘当されてまでやりたかったことはこれじゃない。俺はただ、髪形を変えて、人に喜んでもらいたいだけだった。


思い入れのある一号店にスタイリストとして出勤するのは週一回日曜日のみ。開店から閉店までの間、新規受付なしの馴染みの予約客のみの対応。

一番安らげて、心躍る日だ。


俺の一番古い客は凛子だ。俺がまだ駆け出しの時、カットの練習台を快く引き受けてくれたところから始まる。

「どうせくくるから大丈夫」と、俺の失敗を笑って受け入れてくれた、大切な幼馴染だ。


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