ラブ パラドックス
凛子が生まれたときから知ってて、家族や友人とはまた少し違った位置から、ずっと凛子の成長を見てきた。
親父さんが亡くなったとき、そばにいてやれなくてごめんな。電話越しに声を上げて泣いてる凛子を、抱きしめてやれなくてごめん。
あの時は俺も自分のことで精一杯で子供だった。
凛子が大切すぎて。
いつの間にか違う男に奪われたけど。
悔しくて、嫉妬して、でも不思議と絶望感はない。
凛子の幼馴染はこれからもずっと俺だけだし、何かあったら駆けつけてやるから。
「個室なくていいんじゃないか?喧嘩したら俺のところにくればいいから」
前髪をブラシで払うと、凛子の鼻に切り落とした短い髪の毛がハラリと落ちた。
毛の柔らかい違うブラシに持ち替え、そっと目を瞑る凛子の鼻を一撫でする。
「光くん。ありがとう」
凛子好きだよ。できれば俺が幸せにしてやりたいって思うくらい。
この気持ちが恋なのか分からない。
今となっては、そこは重要でもなんでもない。
それにもう一生分からないままでいい。
ただ、愛だってことはわかってる。
Is this LOVE?
完