ラブ パラドックス
ねえ陽。さくらちゃんね、わたしたちのこと理想のカップルって言ってくれてるんだよ。

女子会で、陽とのこと聞かれて答えるじゃない?

あ、もちろん下ネタ系は控えてるよ。わたしは言いたいけど。


素直に答えただけなのに、何を言っても「のろけないで」って言われるの。理不尽だよね。

でも、全然悪い気はしないんだ。



「ただいまー」


二人で暮らす部屋に戻って、陽がドアにカギをかけて。


「凛子」

ふわりと頭を抱かれ、どちらかと言えば低い、大好きな声が耳をくすぐる。


そっと唇を押し当てられただけなのに、「愛してるよ」って囁かれたみたいで、靴を脱ごうとする陽を引き留めて、気が済むまで、抱きしめ合った。




私の誕生日にプロポーズしようと密かに準備を進めてくれていたのに、想定外に新しい命を授かって。



驚いて、でもすごく喜んで、結婚しようって言ってくれたのは、ほんの少しだけ、未来の話。




【ラブ パラドックス  完結】
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