ラブ パラドックス
「好きでもない男と寝る女に性欲わかない」

「そりゃ嫌いな男としたいと思わないよ。でもさ、夏目くんもなんだかんだ言いながら、いいなと思う人が相手だったらワンチャン行ける!ってなるでしょ」

「絶対ない」

「え、うそ。ワンナイトなラブ、今までなかったの?」

「うるせえ。過失、無過失関係なく女はリスク高いだろ。それわかってんのに、恋人じゃない男と寝る女が嫌いだっつってんだ」

「潔癖?性欲ないの?」

「ないわけないだろ」


なんだこのイケメン思考は。私の同期は今時珍しい好青年じゃないか。

知らなかった。出会ってから1年ええっと…1年半くらいたつけど、新発見だ。夏目くんとこんなプライベートな話をしてみるのも、たまにはいいな。


「夏目くんは彼女募集してないの?」

「うるせえ」

怒りっぽい男だ。


「ちなみに私は夏目くんが忌み嫌うセフレは、生まれてから23年間いたことがありません。そして簡単に体を許す軽い女ではないという事実を、申し添えておきます。一応、念のため…」

「お前見てりゃわかるわ、そのくらい」

吐き捨てられた言葉のわりには、ちょっと心がほっこりした。


「でも、酔っちゃうと、わりと開放的になると言うか、なんというか...」

「だろうな」
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