ラブ パラドックス
じゃあねと手を振り、今度こそ帰って行った中村くんと入れ違いに湊さんがやってきた。

姿を見つけたときは歩いていたけれど、直前まで走ってたんだと思う。少し息が弾んでいる。

目が合うと、本当にうれしそうに微笑んでくれた。


「外で待っててくれたの?店内にいればよかったのに。ほら、顔が冷たくなってる」

わー!わー!左頬に触れた湊さんの手のひら。

温かくて、優しくて、急なスキンシップに体が固まる。

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