ラブ パラドックス
ホームセンターと雑貨屋を何軒も回って、途中ランチも挟んだ。

せっかくだからあれもこれも。と欲張りすぎて、フラットにした後部シートは、資材で埋め尽くされていて、わくわくが止まらない。


夏目くんがトランクから荷物を降ろしながら、アパート2階部分、私の部屋辺りを見上げた。

日が落ちて辺りは薄暗い。


「ボロいよな、お前のアパート」

「喧嘩売ってんのかこら」

「売ってねえよ。セキュリティ面の心配してんだよ。お前仮にも女子だし」

「仮じゃない。でもこんなでかい女誰も襲わないって」

「バカかお前。本気で言ってる?」


トランクの手前にある、ビニール紐でひとまとめにしてあるテーブル用の鉄脚を片手で軽々持ち上げ「ほら」と押し付けられる。

慌てて両腕でキャッチする。あまりの重さに体が前にふらついたところを、鉄脚をさっと持ってくれた。

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