ラブ パラドックス

「ほらみろ。力ねえだろ。お前は黙っとけば美人だし用心しろよ」

「…うん」


二人とも、一度に持てるだけ持って階段を上がる。

わたしよりはるかに大きくて重い荷物を運んでくれる夏目くん。


その後ろ姿は、男らしくて、頼りがいがあって、直視できず足元ばかり見てしまう。

女子扱いされると調子が狂う。


「え。黙っとけば美人って酷くない?」

「つっこむの遅えよ」

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