ラブ パラドックス
カチカチとつまみをひねって、火をつけてから「座れよ」とすぐ隣のイスをポンポンと叩いた。

腰を落ち着けた私に、夏目くんが「なあ」と優しく語り掛ける。


「鍋には日本酒だよな」

「え、あ、うん」

「なんだよ。どうかしたか?日本酒飲もうぜ」


だって、距離が近いから。近すぎるから。

腕や肩が、ちょっと動くと、触れそうだから。


「俺今日すげえ楽しいわ」


そんな笑顔、反則だから!
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