僕の星

「星の、巡り合わせ……」

 進太の言葉を口の中で繰り返す。

 里奈も不思議に思っていた。春彦のことを、以前から知っていたような、そんな感覚がいつもある。どうしても惹かれ合ってしまう。

 不思議な男性だと、いつも感じている――

「それにしても、人間の感情というものはやっかいだ。ふっきれたはずなのに、一度好きになった女性のことは、やはり平常心で見ることができない。……だから、振袖姿の写真を見て、自分のものではない君を見せ付けられて、酷いと思ったのさ。まったく、酷い運命……だ」

 進太は空になったカップを静かに置く。
 寂しいような、気が済んだような、複雑な表情で彼は話を終えた。


 二人は外に出ると、待っていた春彦と並んで海岸通りを歩いた。空には冬の星座が、月の光に負けそうになりながらも輝いている。進太は歩きながら、その瞬きを見つめていた。

 ホテルの近くまで来ると、進太が里奈に右手を差し出した。

「進太君……」

 里奈はそっと握り返し、その瞬間、胸がぎゅっと締め付けられる。

 制服を着た高校生の私。
 そして進太。
 律子に押されて転びそうになり、彼に受け止められた。
 あの時、里奈は男の子の力強さに感動し、そして、微かにときめいていた。

「さよなら、森村さん」
「さよなら、進太君」

 手が離れた刹那、何かが終わった気がして、視界がじわりと滲んだ。
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