いつか記憶が戻るまで
1
「行ってきます」


パタンと、家のドアをしめる。


最近買ったばかりの新しい制服に身を包み、朝の静かな街を1人で歩いてい


く。


家の近くにある交差点。右と左の分岐点。右は、私の通う高校へと続く大通


り。左は、静かな住宅街へと続く道。


私は、いつものように左の道へ行く。つまり、学校とは反対の道。


私が左の道を選んだのは、別に大した理由じゃない。ただ単純に、学校に行


くのが嫌なだけ。


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