O.N.P. 〜END for NEXTAGE〜
私は大きく手を伸ばし、ボールをとらえた。
バシュッ!
ボールはスイートスポットに綺麗に当たり、渡辺の足の後ろあたりでバウンドした。
スローモーションのように世界が流れる。
駆け出そうとするなな姉。
しかし、足元が滑る。
ズデンッ
そしてボールはコートの外でツーバウンド目のバウンドをした。
「かっ……た……」
「みぅちゃん!!!!!」
「勝った……勝った!!!!」
「そうだよ!!!勝ったんだよ!!!!」
気づいたらラケットを放り投げてのんちゃんと泣きながら抱き合っていた。
「みぅちゃん、行こうか!」
ハイテンションなのんちゃんにそう言われ、ネットに集まる。
「ただ今の試合は、4-3で、木村・羽柴ペアの勝ちです。」
審判がそう告げた時、私の目からはまた涙が溢れた。
なな姉は……泣いていない。
個人では最後の戦いだったのに……
全国へ行けないのに……
やっぱり強いんだな、なな姉って……
私はネット越しになな姉と抱き合った。
なな姉にまずはお礼をする。
「ありがと……本当に……」
「ウチの完敗だね。みぅ、これでウチも終わりd」
「終わりなんかじゃない!」
私は声を張り上げる。
「終わったのはおねーちゃんとウチのくだらない6年間。今日から2人で、キャンバスに7色の虹を掛けに行こうよ!同じ時を駆ける人として、そして家族として……」
「みぅ……この生意気妹めっ」
抱き合いながらそう答えたなな姉の足元には雫の跡があった。
その雫は汗だけじゃないと思う。
私たちはこれからも互いに成長し、そしていつかは光を放つんだ。
そして、なな姉の応援もあり、高体連ソフトテニス競技東北大会は私たちが1位を取らせてもらった。
「おねーちゃん!」
私は、バスに乗り込もうとするなな姉に声をかける。
「みぅどうした?」
「あの……その……」