あなた色に染まる
私は会いたくなかった
「は?」

なんで?

「やあ。会いたかったよ。」

なんであんたがここにいるのよ?


遡ること昼休み。
恵梨はお弁当の前にトイレ。
先にお弁当食べてても良かったんだけど、恵梨を待つ。

スマホいじってたら恵梨が今まで見たことないくらいの瞬足で走ってきた。
トイレにお化けでも出たのかな?

「夢!なんか校門に夢のこと探してる人がいるって!しかも男子!!!」

「え?私に?しかも男子とか、心当たりないんだけど.....」

とりあえず急いで校門へ。

そして今に至る。

目の前には昨日の車椅子の男の子。
思い出したくもないし、周りの生徒に変な関係だと思われても嫌だからすっとぼけてみることに。

「えーっとー.....どちら様ですか?」

「忘れちゃったの?僕ははっきり覚えてるんだけどなあ。あんなに舌打ちされたのは初めてだったからね。」

そう言ってニコって微笑む男の子。
仕方ない。ちゃんと聞こうじゃないか。

「ごめん嘘。で、何か用?」

同い年っぽいし、タメ口でもいいよね。

「ああ、昨日のお詫びをしたくって。」

お詫びって何するつもりなんだろう?
クレープ奢ってくれるのかな?
そうだとしても、この人と2人で行くのもなあ.....
ママに知らない人にはついていくなって言われたし。

「ふふっ」

「何かおかしかった?」

「表情豊かな人だなって。」

なにそれ。全部顔に出てたってこと?

「そんな怪訝そうな顔しなくたって大丈夫だよ。」

「じゃあお詫びって何するつもりなの?」

「何がいいかい?」

なにそれ。

「いきなり何がいいかなんて言われても、すぐ答えられないんですけど?」

「じゃあ考えてて。」

まさか、また会いに来ようとしてる?!
絶対イヤ!!!

「そんな顔しないで。
これ、僕の連絡先。お詫び、決まったら連絡してね。」

「そんなん、連絡しないかもじゃん。」

「それならまた会いに来るよ。」

「決まったら言う。」

「ふふ、ありがとう。」

そう言って、笑ってどっか行った。
なんだったんだ.....


教室に戻ったら好奇の目。
そりゃそうですよねー。
それと、恵梨からの質問の嵐。
ごめんよ恵梨。
お腹空いたから、先にお弁当食べさせて。後でちゃんと答えるから。


結局、恵梨の質問に答えてたらクラスのみんなも混じってきちゃって、彼氏じゃないってわかって恵梨やクラスのみんなががっかりしたところで、昼休みが終わった。
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