ポンコツ同盟
「そんなとき、初めて俺に声をかけてくれたのが樋口くんだった。」
え…?
「『弁当美味しそうだね』って確か声かけてくれて、そっからいろんな人と話せて。」
「…そうなの?」
「樋口くんは確かに空気は読めないし嘘はつけないし、非常識で失礼で、人を平気で傷つけるかもしれないけど、人を平気で救える人間だと思う。」
哲兄の顔を見てると、いかに樋口を信用してるかがわかった。
「そう…」
私も拓兄ももう何も言えなかった。
「さあ、今日はカレーにするよ。あいつらも食べるってさ。いっぱい作らないと。」
そう言って腕まくりをする哲兄のお手伝いを、拓兄と二人でやることにした。