ポンコツ同盟
後輩いびりが凄かった。
まず、すべての雑務を後輩に押し付ける。まあこれは、部活動において下っ端の1年が動き回ることは当たり前だと考えてたから問題はない。そして、何かにつけて“罰ゲーム”という名目で、体罰をしてくる。一番着替えるのが遅い一年にはケツバットをする、返事の声が小さい一年は部活後体育倉庫に2時間ほど閉じ込めるなどやっていた。
はじめのうちは、中学の運動部はこんなものだと思っていた。他の先輩たちも止めないし、先生も何も言ってこないから、この部活動の伝統なのだと思っていた。
しかし、それは日を追うごとにエスカレートしていった。
そして、いつしか森田先輩のいびりのターゲットは1人にしぼられた。俺と同じクラスの小林だった。
俺はその時、1年の中のリーダーみたいな役割を任されていたのだが、森田先輩に耳打ちされた。
「荒川。小林のことなんだけど、あいつ、最近調子に乗ってるんだわ。だからさ、ちょっとシメないといけないと思うんだけど。」
「え、」
「明日からあいつと一切口きくな。部活以外でもだぞ。他の部員にも言っとけ。」
そう言われて、俺は立ち尽くした。