ポンコツ同盟
「あのさあ、君はいつまで生きるつもりなの?」
「へ?」
「一生誰も傷つけずに生きられる人なんていないよ。一生傷つかずに生きることも無理だ。」
「…」
「傷なんていちいち数えてたらキリないし。気付かない傷だってあるんだから。一生ひとりで生きてくなら可能かもしれないけど、生まれたときから君はひとりじゃないんだから、既にもう不可能だよね。」
「…」
「心配しなくても治るし、治らなくても死なない。そんなに謝られたらこっちが悪いことしてる気分になる。」
「ごめん…」
「ま、君は、人間に向いている人間だ。」
「は?」
「ちゃんと人と向き合おうとするから、慎重になるんだろう。命の重みを分かってる。平気で誰かを傷つける人間よりずっといい。」
「…」
「次の体育も君は出てよ。2人もサボったらバレちゃうからね。」
そう言って俺の前を歩いていく樋口。
あのボサボサ頭の中は、きっと空っぽなんかじゃないんだろう。