ポンコツ同盟

それでもケガをした翌日、俺は何とか気を張って部活に顔を出した。

「お前は頑張りすぎだ。しばらく休め。投手は1年の羽生にやってもらうから。ケガを完全に治してからまた野球をすればいい。」

そう監督に言われた。

なんだそれ。しばらくっていつまでだよ。完全に治してからって、いつだよ。そもそも完治するのかよ。羽生が投手?あいつは筋がいい。すぐにでもエースがつとまりそうないいセンスをしている。だから俺は焦ったんだ。焦って、言われたよりも多くの投球練習をして、肘壊して…。それに「また戻ってくればいい」じゃないんだな。「また野球をすればいい」って。高校野球は諦めろって言ってんじゃん。

「西山先輩のケガが治るまで、俺がここ守りますんで!安心して治療に専念してください!」

後輩にポジション取られて、安心なんてできるかよ。羽生は高校から野球を始めたやつだった。入学当初はルールすらまともに知らなかったのに、ガタイがよくて、体力もあって、感覚をつかむのも早くて、あれよあれよとエース候補になった。天才型だ。もちろん、努力がゼロとは言わないが、小学生の頃から努力してここまできた俺に言わせれば、ぽっと出の目障りなやつでしかなかった。

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