ポンコツ同盟

引きこもり始めて二週間目に入ったとき、めずらしい訪問者が来た。

「智樹。」

ドアの向こうからお母さんの声。

「お友達が来てくれたわよ。荒川くんと樋口くん。」

中学の時の友達だ。なんだ。そんなところまで俺の不調が行き届いてんの。

「よお西山!大変だったなあ。」

荒川の声だ。俺の様子を探ってくるようなわざとらしい明るい声。人の気持ちを汲み取るのに優れている彼らしい。荒川は中学の頃同じ野球部だった。1年の時に辞めたけど。

「…帰れよ。誰とも話したくない。」

「智樹!せっかく来てくれたのになんてこと言うの!」

「話したくないつってんだろ!特に荒川は…」

荒川は俺がプロ野球選手になりたいと言ったら誰よりも応援してくれた。こんなカッコ悪くて惨めで情けない姿、見せたくない。

「西山、今はつらいと思うけど、治療したらきっとまた野球できるようになると思うから…それにさ!プロにならなくても野球はやれるし、野球に関われる職業だったらいっぱいあるし、」

「プロになるのが俺の夢なんだよ!人間関係が拗れたくらいで野球部辞めたお前に俺の気持ちが分かるわけないだろ!」

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