ポンコツ同盟
しまった。言い過ぎた。荒川は俺ら野球部員のために先輩に喧嘩売って辞めざるを得なかったのだ。そのおかげで俺たちは野球を続けられた。感謝しかないんだ、本当は。
荒川が俺を元気づけようとしてくれてることは分かってる。しかしこの状況でこれ以上話していたら、余計な言葉しか出てこない。
「…急に来てごめんな、また来るよ。」
荒川の声が聞こえてホッとしていたら
「いや、帰らないよ。せっかくここまで来たのに。」
樋口がそう言った。
「え、」
「だってわざわざ時間割いてさ、中学以来関わりのないやつのとこに来たんだよ?しかも自業自得でケガして勝手に引きこもってるやつなんかのために。何もなしに帰るとかバカか。」
「バカはお前だろ!空気読めよ!考えてからもの喋れ!西山は傷ついてんだよ!」
「自分が招いたことだろ。それに傷ついてるとしても、荒川に八つ当たりしていい理由にはならない。」