ポンコツ同盟
「しっ。騒がないで。」
やばい…私このまま知らない男子にここで襲われるんだ…殺されるんだ…バチが当たったんだきっと…
佐々木さんごめんね、最後にあんなひどいこと言って…梨々奈、亜美、美希、いっぱい遊んでくれてありがとう…友達になってくれてありがとう…楽しかった…お父さんお母さん、親孝行できなくてごめんね…今までありがとう…もっといい死に方したかった…まだ16なのに…やりたいこといっぱいあるのに…
いろんな思いが走馬灯のように駆け巡る。
「あのさ、樋口悠里って知ってる?」
「…へ?」
男から出た言葉は、よく知った友達の名前だった。
「ここの1年の女子なんだけど。知ってる?」
「え…ああ…はい。」
「僕、悠里の兄なんだけど。」
「へ!?」
拍子抜けした。悠里ちゃんのお兄ちゃんかよ。てっきり女子高に侵入してきた変態男かと思った。
でも侵入者にはかわりない。
「お兄さんが何の用で…」
「これ。数学の教科書。僕の鞄に入ってたから。」
彼の手には数1の教科書。
「あ…届けに来たんですね。優しいですね。」
「まあね。ただでさえ勉強できないあいつが忘れ物までしたとなると、内申ズタボロで救いようなくなるからね。」
お兄さん言い方ひどい。