ポンコツ同盟
「あいつの知り合いならちょうど良かった。これ渡しといて。」
お兄さんに差し出された教科書を受け取ろうとしたが、その手を止めた。
「…すみません。私、今日はもう教室に戻らないかもしれないです。」
戻らないんじゃなくて戻れない。
「なんで?サボりでも鞄取りに行くでしょ。ついでに渡すだけでいいから。」
「…ごめんなさい。」
「はあ。」
お兄さんはため息をついて、私に視線の高さを合わせてきた。
「何をそんなに思い詰めてるの。」
「え?」
「まるで世界の終わりみたいな顔してるから。キモいんだけど。」
世界の終わり…あながち間違いではないなあ。
「その辛気臭い顔と、君が教室に戻らない理由には何か関係があるの。」
「…」
「キモい。」
キモいって…やばい…泣きそう。
「泣くな。泣いて解決することなのか?」
「しな…い。」