ポンコツ同盟
興味なさそうに相槌を打ったあと、樋口くんはまた口を開いた。
「奥野さっき教室の前にいたよね?」
「…え」
「僕の席から見えてた。」
…うそ。どうしよう。大谷くんたちの話も聞かれてたのかな。気まずい。いやでも、教室の前にいたのが見えただけであって、ただそれだけかもしれない。大丈夫。落ち着け僕。
「…うん、いたよ。授業受けようか迷ったんだけど、頭が痛くなって保健室にそのまま来たんだ。」
「八方美人。」
「…」
「聞こえたんだろ。大谷たちの言葉。」
やっぱり聞かれてた。心臓がバクバク言っている。
「…樋口くんも聞いてたんだね。でも別に僕はなんも気にしてないよ。心配してくれたの?ありがとう。優しいなあ樋口くんは。」
恥ずかしくなって、できるだけ明るい声を出した。強がってないと、心が崩れそうだった。