ポンコツ同盟

大谷くんは僕を見るなり駆け寄ってきた。

「奥野!お前大丈夫かよ?」

「あ、うん、ごめんね、寝不足で頭痛がしてただけみたいなんだ。1時間寝たら治ったよ。」

またへらへらしてしまった。このへらへらが大谷くんは嫌なのかな。

「なんだー。心配したんだぞ。」

「え?」

「お前さ、どんなにしんどくてもいつも笑ってるだろ?さっきも体調悪いなんてまったく分かんなかったから焦ったわー。」

「ごめんね。」

「謝らなくていいけど。しんどい時くらい頼れよな。いつも笑ってるから不安になるんだよ。大丈夫かなって。しんどい時だけじゃなくて普段から。本音が見えないというか、ほんとに楽しいのかなって。奥野まったく怒らないから我慢してるんじゃないかなって。お前人に合わせるくせがあるから、もっと自分を主張していいんだぞ。」

大谷くんの口から出てきたのは、思っても見なかった言葉ばかりで。

「ありがとう。」

「おう。体調悪いときはしっかり言えよ。怒っても泣いてもいいぞ。」

「ふふっ。」

もしかして大谷くんは陰口を言ってたんじゃなくて心配してくれてたのかな。

こんなにも優しい友達がいるのに、僕はとても失礼なことをしてしまったなあ。

大谷くんは、笑顔じゃない僕もすべて受け入れてくれようとしていたんだ。

ありがとう。
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