ポンコツ同盟
箱を開けると、たくさんの手紙が出てきた。
父さん宛て、母さん宛て、俺宛ての手紙はクローバーの封筒。学校の友達数名宛て、お世話になった病院の関係者宛て、学校の先生宛てのものは猫の封筒だった。
父さんから俺宛ての手紙を受け取ったが、陽香が亡くなったことを受け入れられなくて、中を見ることができずに鞄にそっとしまった。
父さんと母さんもまだ読むことができないのか、開いていない。
「…あれ?これ誰宛てだろ。」
箱の底から出てきた封筒は、クローバーでも猫でもなく、向日葵の封筒だった。
『樋口幹生くんへ』と書いてある。
「母さん、樋口くんなんていう陽香の友達聞いたことあるか?」
「…ないわね。」
「もしかして…彼氏とかかな?」
「そうかもしれない。ひとつだけ特別な封筒だし。」
向日葵は陽香が大好きな花だ。
「でも、そういう話はまったく聞いてないわ。一度も面会来てないし。そういう関係だったら来るのが普通じゃないかしら?」
「「…」」