ポンコツ同盟

今日のお通夜で陽香が書いた手紙のほとんどを渡すことができた。しかし、『樋口幹生』は現れなかった。

分からない。そんな名前聞いたことがない。もしかしたら明日の葬儀には現れるだろうか。一体、どんな人物なのだろうか。

「『樋口くん』、来なかったな。」

「…そうね。」

父さんと母さんも気になっているようだ。

「…ねえ、陽香には悪いけど、樋口くん宛ての手紙の内容、見てみましょうか。」

「いやさすがにそれは家族とはいえ…」

「もしかしたら内容に樋口くんのヒントが隠されているかもしれないし、このまま渡せずじまいよりはいいと思うの。」

「…」

勝手に手紙を見ていいものか迷ったが、俺ら家族は、陽香の思いを確実に本人に届けたい気持ちが勝った。

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