ポンコツ同盟
翌日。
葬式にはたくさんの人が来てくれた。
陽香の小学校の友達、中学校の友達、高校の友達、そして先生たち。病院の関係者、また病院で知り合った友達や、近所の人たち。
「陽香ちゃんの笑顔にはいつも元気をもらってました。」とか「陽香ちゃんの声を聞くと、その場の空気がすごく明るくなるんです。」とか参列者が代わる代わる声をかけてくれる。
悲しいだけじゃない。陽香はたくさんの人に愛されていたと実感できる式になった。
陽香はすごい。小さい頃からつらい治療に耐えて、それでも笑って、俺たちに勇気を与えてくれた。おそらく泣きたくなるような逃げ出したくなるような苦しい治療を何度も受けてきたはず。
きっと、そんな陽香の心を照らしてくれたのが『樋口幹生』なのだろう。彼のおかげで陽香は前向きに頑張れたのだろう。
だけど『樋口幹生』の姿は今日も見当たらなかった。
病院の関係者に樋口くんの名前を聞いたが、誰も知らないとのことだった。