ポンコツ同盟
こたつに入ってココアを待つ。
「君と陽香は、どんな話をしたの?」
「は?」
「君のおかげで、陽香はつらい治療にも耐えることができたみたいだ。」
「何を言っている。僕が彼女と出会ったのは彼女が余命宣告を受けてすぐだったよ。その1回きりだ。今日話した内容と変わらない。僕は彼女にバカだと言っただけだ。」
「嘘だろ。じゃあなんでそんな手紙…」
あ、しまった。手紙の中身読んだのがバレてしまう。
「手紙の内容見るなんてサイテー。」
「…すみません。」
「別にいいけど。彼女はすごく向日葵を気に入っていた。生命力を感じるから好きなんだって。だから僕は彼女に、向日葵みたいにバカまっすぐだなって伝えた。それを彼女はポジティブに受け取っただけなんじゃないか?」
「…そうだったのか…。」
「彼女がつらい病気や治療と戦い続けられたのは、彼女自身の強さと、君たち家族や周りの環境のおかげじゃないのか。幸せじゃないと、彼女のように強くまっすぐ最期まで生きることなんてできないよ。」
「…へ?」
「死にたくないって彼女泣いてた。幸せじゃなかったら、この世に未練なんて残らないよ。彼女は君たちに囲まれて幸せだったんだ。だから最期まで生き抜こうと思えたんだよ。」
樋口くんの言葉に涙が出てきた。陽香と1回しか会ったことのない樋口くんの言葉なんて、真実かどうか分からないのに、陽香は幸せだったって断言してくれたことが嬉しかった。