ポンコツ同盟

俺は樋口くんとおじいさんに挨拶をし、帰ろうとすると、樋口くんが小さなジップロックを渡してきた。

「これ、向日葵の種。咲くかどうかわからないし、どの季節に咲くかもわからないけど。」

「ありがとう。植えてみるよ。」

家に帰った俺は、意を決して、陽香からの手紙を読んだ。手紙は5枚も入っていて、陽香の気持ちがいっぱい書かれていた。楽しかった思い出や、感謝の言葉、そして最後には「お兄ちゃんは私のヒーローです。」と書かれていた。

泣いた。だけどそれと同時に笑顔になった。ヒーローは陽香の方だ。この世からいなくなった今でも、俺の心をあたたかくしてくれる。勇気をくれる。

樋口くんからもらった向日葵の種を握りしめて、向日葵の育て方を検索した。

まだまだ先になるとは思うけど、次陽香に会う時は、大きな向日葵の花束を持っていこう。

それまでしっかりと生きよう。陽香がヒーローだと言ってくれた自分を誇って、きちんと生きよう。

< 270 / 377 >

この作品をシェア

pagetop