ポンコツ同盟
「まあ僕は頭がいいからね。でも、頭がいいからって、偏差値の高い大学しか選択肢を与えられないのは癪じゃないか。」
…選択肢。
「勉強すればするほど選択肢は広がるけど、狭められる意味は分からない。東大を目指せる頭を持っていても、僕はA大に行きたいんだ。」
表情を変えずにまっすぐと樋口くんは言う。
そうか。この子はいっぱいちゃんと考えて行きたい大学を選んだんだ。そういう選択肢があるってこと、見落としていた。私は教員失格だな。
「でも荒川も頑張るんでしょ。笛木が行くから行くっていう理由だけど、頑張るならいいんじゃない?もし受からなくても知らないけど。」
「絶対受かるよ!樋口、笛木、今日から勉強教えてくれ!」
熱くなる荒川くんを見て、樋口くんは鼻で笑う。
「せいぜい頑張れ。」
「お前ムカつくな。」
荒川くんは樋口くんにチョップをしていた。