ポンコツ同盟
「でも俺…こんな見た目だし、ピアノ似合わないし…変ですよね?」
「別に色黒でガタイの良いサッカー部の部活着着てる少年がピアノを弾く世界があっても変じゃない。少し面白いが。」
樋口先輩は俺をまじまじと見て言った。そう言えば部活着のままだった。
「好き嫌いに似合う似合わないは必要ないだろう。だけど、君には十分似合ってるように思うけど。ピアノ弾いてる姿、かっこよかった。」
「あ…」
まって、すごい嬉しい。泣きそう。
「君の才能は素晴らしい。何よりピアノが好きという気持ちが音楽にも溢れ出てて素晴らしかった。」
「…ありがとうございます。」
「好きという気持ちは大事にしろ。好きなものを嫌いって言うのは苦しいだろ。君の好きなものはとてもかっこいいんだ。胸を張れ。」
「…はい。」
初対面なのに樋口先輩は俺の心に触れてきた。変だけど、優しい人だ。