ポンコツ同盟
私は家に帰ってお母さんの部屋に向かった。自らお母さんに会いに行くのは何年ぶりだろうか。いつもヘルパーさんに任せっきりで、会いに行かなかった。いや、行けなかった。お母さんが私に向ける無関心が怖かったのだ。
「お母さん、髪型変えたんだ。どう?」
お母さんの表情は変わらず無だった。
「私もう、お父さんとお母さんから愛してもらうのは諦めるね。疲れたのもう。だから、今度は私がお母さんを愛してあげる。ごめんね。今まで お母さんに向き合えなかった。 ちゃんとお母さんのこと見るからね。」
そう伝えても、お母さんの表情は変わらなかった。だけど、お母さんは涙を流していた。涙を流して、私の頭を撫でた。
私も泣いた。なんの涙かはわからない。いろんなものが混ざった涙。たくさんの思いが溢れてきた。
それと同時に、今までまったくイメージできなかった幸せになれるいつかを想像できた。
手首を縦には切らないでおこう。