ポンコツ同盟
28、相良翔喜という男
相良翔喜、大学3年生。
俺には夢がある。
ギタリストになることだ。
小学生の時、近所のお兄ちゃんがギターを弾いていて、教えてもらった。
「翔喜、素質あるなあ!」と言われ、それからずっと、独学ではあるがギターを続けていた。オーディションを受けたり、路上ライブをしたりはちょこちょこしている。SNSでも何人かファンが応援してくれている。
ギターで飯を食えるようになるのが俺の夢だ。
でもそんなことを呑気に言っていたのは半年前までで。
俺は、リクルートスーツを身にまとい、就職面接に向かっている…友達を笑顔で見送る。
「頑張れよ!」
「ありがとう!頑張るわ!」
アパートの隣に住んでいる長野は、毎日就活に励んでいる。すでに2つの内定をとれているらしい。
俺はギターを続けるために、就職活動はまったくしていない。だけど、就職活動をしている同級生たちを見ていると、迷いが生まれた。