ポンコツ同盟
「樋口ー!!」
みっきーを呼ぶ声が聞こえる。ひとりの男の子が走ってきた。
「あ、荒川だ。」
「お前どこにいるかと思ったら!もう拓也くんの試合始まるぞ!」
「戻るよ。」
荒川という子は俺の顔をじっと見る。
「…知り合い?」
「幼なじみの翔喜くん。A大生。」
「まじ!?先輩じゃん!」
「まだ入学してないから先輩ではない。」
「いつもみっきーがお世話になってます。」
「お父さんじゃないんだから。」
「樋口の友達の荒川です。いつもお世話してます。」
「お世話してるのは僕じゃないか。」
「みっきーも荒川くんも、早く戻らなきゃいけないんじゃないの?」
「そうだった!失礼します!」
「またね、翔喜くん。」
「みっきー、何かあれば連絡しろよ。」
「そっちこそ。」
ちゃんと笑えてるみっきーを見て安心した。
俺も前に進もう。
俺はもう、諦めることを諦めた。