ポンコツ同盟
樋口さんは靴を脱いでズカズカとリビングに向かっていき、ソファに座った。
「まあお2人とも、座ってください。」
まるで家主かのような口調。お母さんは怪訝な顔をし僕を見たが、僕が頷くと、首を傾げながら座った。
「単刀直入に言います。西村は、去年、クラスメートからひどいいじめを受けていました。」
「「えっ」」
まさかそんなにハッキリ言われるとは思わなくて、僕もびっくりした。
「本当なの!?」
「…うん。」
「それで今日、学校の屋上から飛び降りようとしてる西村を、僕が見つけました。」
「え、どうして、なんで、大丈夫なの?え、どういうこと、」
お母さんは混乱している。
「ごめんお母さん…」
「…死のうとしたの?どうして、言ってくれなかったの…」
「ごめん…」
樋口さんは僕からカバンを取り上げると、さっきの遺書を取り出した。
「これが、西村の『遺書』です。これに全部書いてあるはず。読んでください。その方が早い。」
お母さんはルーズリーフの文字をひとつひとつ丁寧になぞる。そして泣いた。