ポンコツ同盟

樋口さんについてゾロゾロと廊下を歩く。僕の教室についたとき、樋口さんが振り返った。

「で、主犯グループはどこだ?」

「…一番後ろの真ん中です。」

「あいつか。みんな、頼むぞ。」

にこにこ笑顔だった笛木さんはヤクザもびっくりの表情になり、羽崎さんは可愛い顔を真顔にした。土屋さんは言われた通り笑顔を作り、都築さんと梶原さんはポケットに手を突っ込んでヤンキーみたいな出で立ちになった。一番後ろの奥野さんと大谷さんはよく分かってない様子で、ただ付いてきた。そして荒川さんは俺の横で舌を巻いている。

樋口さんはいつも通りの無表情で、だけど凛としていて、かっこよかった。

そして主犯グループの前に立つ。

「…なんすか?てか西村じゃん。何これ?」

そいつは引き攣った笑顔でこちらを見る。そいつと目が合った瞬間、汗がぶわっと吹き出した。でもダメだ。今目を逸らしたらダメだ。

「3年の樋口だけど。西村は昨日から俺の傘下に入った。西村に手を出したら、うちの連中が黙ってないから。」

「…は?傘下って何?キモ。いきなり来て何それ。」

「ついでに、今までのこと、西村に謝ってくれる?たくさん暴力奮ったよね?西村が渡したお金も全部返して。」

「…なんのことでしょうか先輩方。西村にお金なんてもらってませんよ?そいつの妄想じゃないですか?」

…しらばっくれた。確かに僕の証言だけじゃ認めさすのは難しいか。他のみんなは絶対証言してくれない。

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