ポンコツ同盟

駅員に押さえられた男は叫んでいる。

「お前が!そんなにスカート短くして誘惑してきたんだろ!そんなん触ってくれって言ってるようなもんじゃないか!お前が悪いんだ!」

…はあ?え、ムカつく。やばい、堪忍袋の緒が切れる…

私が痴漢を殴ろうかと思ったその時だった。

女の人のお兄さんが痴漢と目線を合わせて言った。

「何言ってんのおっさん。この子がスカート短くしているのはオシャレだ。男に見せるためではない、ましてやおっさんに触らせるためじゃない。」

私が言いたかったことを代弁してくれた…いい人だ。素敵な人だ。

「触られたくなかったらズボンでもなんでも履けばいいんだ!」

「…悠里、カッター持ってる?」

「え…あるけど。」

その人は女の人からカッターを受け取り、痴漢の方に向けた。

「な…んだよ。」

「もし今僕があんたをこれで刺してさ、『刺されたくなかったら防弾チョッキでもなんでも着てろ』って言われて、あんた納得できる?」

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