ポンコツ同盟

「な!?防弾チョッキなんて普通着るわけないだろう!」

「だよね。僕も理不尽なこと言ってると思う。でもあんたも同じこと言ってるんだよ。自分の罪を正当化するな。あんたは加害者なんだ。」

「…」

「それに、女性がズボン履いてたって、あんたみたいなやつは痴漢するだろ。とぼけるな。しね。」

痴漢はようやく抵抗をやめて、駅員たちに連れて行かれた。

「あ、あの、ありがとうございました!」

優香が4人にお礼を言う。私も一緒に頭を下げる。

「いやいや。怖かったね。無事で良かったよ。」

女の人が優香の頭を撫でた。

その後、軽い事情聴取を受けた。

優香を助けてくれた女の人は樋口悠里という名前だった。

そしてそのお兄さんは樋口幹生。

私は『樋口幹生』という名前に引っかかった。どこかで聞いたことがあるような…一体どこで誰から聞いたのだろう。

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