ポンコツ同盟

幹生さんの背中を見送って呆然としていると、入れ代わりで荒川さんが入ってきた。

「荒川さん!昨日はありがとうございました!」

「あ、昨日の。無事帰れた?」

「はい。ありがとうございます。これ、優香と私からお礼です。」

「そんないいのに。ふはっ!律儀に豆大福じゃん。ありがとう。」

「いえいえ。そういえばさっき、樋口さんがふらふらしながら教室から出ていったんですけど…用事思い出したって。」

「ああ、たぶんいつものサボりだろ。まったく困ったやつだな。」


そのまま、樋口さんは1日教室に帰ってこなかったらしい。そして一晩、家にも帰らなかったらしい。鞄もスマホも財布もすべて教室に置いたまま。

私がそれを知ったのは翌日に荒川さんが血相を変えて私の教室に走ってきたからで。

「樋口と最後に何話した!?なんか言ってた!?」

私は何故か冷静で。この人こんな怖い顔するんだ。と、どうでもいいことを考えていた。

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