ポンコツ同盟
32、幸松蒼太という男

幸松蒼太、31歳。

ただの平凡な冴えない独身サラリーマンだ。

人より特段秀でているものはなく、昔から平凡中の平凡で生きてきた。

人と関わるのが、あまり得意ではなく、大きなトラブルなど起こしたくなかったため、当たり障りなく、無難に生きてきた。

そんな俺だけど、ヒーローに憧れていた。

昔から戦隊ヒーローが大好きで、誰かのために戦っているヒーローがかっこよくて憧れた。

自分もああなれならいいのに、と思いつつ、こんな平凡な自分には無理だと諦めた。

それが昨日。

珍しく定時で上がれた会社の帰りの電車で、女子高生が痴漢されているのを見つけた。

助けなきゃと思う反面、どうしようという緊張があり、咄嗟に体が動かなかった。

すると近くにいた女子高生が迷いなく痴漢の腕を捻りあげた。

彼女は紛れもなく、ヒーローだった。

< 358 / 377 >

この作品をシェア

pagetop