ポンコツ同盟
32、幸松蒼太という男
幸松蒼太、31歳。
ただの平凡な冴えない独身サラリーマンだ。
人より特段秀でているものはなく、昔から平凡中の平凡で生きてきた。
人と関わるのが、あまり得意ではなく、大きなトラブルなど起こしたくなかったため、当たり障りなく、無難に生きてきた。
そんな俺だけど、ヒーローに憧れていた。
昔から戦隊ヒーローが大好きで、誰かのために戦っているヒーローがかっこよくて憧れた。
自分もああなれならいいのに、と思いつつ、こんな平凡な自分には無理だと諦めた。
それが昨日。
珍しく定時で上がれた会社の帰りの電車で、女子高生が痴漢されているのを見つけた。
助けなきゃと思う反面、どうしようという緊張があり、咄嗟に体が動かなかった。
すると近くにいた女子高生が迷いなく痴漢の腕を捻りあげた。
彼女は紛れもなく、ヒーローだった。