ポンコツ同盟
「…え…あ、じゃあ、お茶だけいただきます。」
樋口くんは僕から手を放し、家族の方に目を向けた。
「…あのさ、みんな、七瀬真琴ちゃんって覚えてる?もう10年前なんだけど…」
「ああ、昔、幹生が公園でよく遊んでいた友達だろ。確か父親から虐待を受けて…」
「そう。…その子が死んだのは、僕のせいなんだ。」
「「「「…え?」」」」
「僕はななちゃんがお父さんから暴力を受けていることを知ったのに、誰にも言えなかった。」
「…」
「ななちゃんを救うことはいくらでもできたはずなのに、何も出来なかった。何もしなかった。だから、ななちゃんは…」
「待って。」
「え?」
「幹生は何も悪くないよ。小さい子がそんな大きなことを抱えてどうにかするって難しいし、大人でも難しいよ。幹生のせいじゃない。」
「…」