ポンコツ同盟

「なんだ、良かった。良かったあ。」

樋口くんは大きく息を吐いた。

「同じ学校の1年生の子が、ななちゃんの親戚らしくて、ななちゃんから僕のことを聞いた事があるって言ってたんだ。それで当時のことを思い出してしまって、感情がぐちゃぐちゃになってた。」

「お兄ちゃんはお父さんに似てネガティブの塊みたいなとこあるから、気をつけないと。」

「げ。ネガティブの塊に取り憑かれてる?お祓いしなきゃ。」

「人を妖怪みたいに言うな。」

俺は結局、お昼ご飯も樋口家でいただいてしまった。

ヒーローの家庭は、なんだかんだあたたかかった。

俺も誰かの役に立ててるのかな。今日もらった『ありがとう』を誇りにしてもいいかな。

大それた人助けはできないかもしれないけど、目の前の困っている人を助けられる『ヒーロー』にならなれるかもしれないと、嬉しくなって、バレないように小さく笑った。


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