ポンコツ同盟

増永くんは慌てふためいている。

「人を好きになるって素晴らしいことだよね。こんなにも幸せなんだ。私はちゃんと気持ち伝えたんだから、今度は増永くんの番だよ。」

「…」

「増永くんなら大丈夫。私が保証する。もしダメでも、慰めてあげるから。」

「樋口さん…」

「さあ、行ってこい!伝えてこい!男気みせろ!」

「…ありがとう。」

私は力一杯増永くんの背中を叩いた。

ドアの方へ向かう彼が、ふと私の方に振り返った。

「樋口さん、人に好きになってもらえるって、とても嬉しいことだね。ありがとう。じゃあ、またね。」

そう言って笑う彼を見て、いろんな感情が沸き上がってきた。

< 69 / 377 >

この作品をシェア

pagetop