しつこいよ、長谷部くん
当初の予定だと、いつも通りさゆとみっきーと回る予定だったのだが。
………最後の文化祭はカップル2人で回らせてあげた方が良さそう、かな。
となると、一緒に回る人……。
ファンの女の子と回ると争いになりそうで怖いし、フットサル部マネはみんな彼氏がいた気がする。
クラスの友達と行くのもいいけれど、どうせイケメン巡りでもするだろう。
女の子が、きゃっきゃしているのに付き合うのは、正直なところ面倒。
ダメだ、一緒に回る人がいない。
ならば、ぼっちで回るか。
いや、ファンの子につけ回されるだろう。
………どうしたもんか。
少し顔を上げれば、イケメンが珍しく不安そうにしていた。
………しゃーない。
長谷部くんで許してやるか。
どうせ彼のファンも、私なら許してくれるだろうし。
もう既に付き合ってるって噂出回ってるし、お似合いだとか言われまくってるし。
「長谷部くん、予約完了」
そう宣言した私は、次の長谷部くんの表情に思わず口元を緩めそうになった。
危ない危ない、簡単に笑ってあげる私ではないのだ!
「………えっ! まじっすか!」
目を大きく見開いて、私が頷いたのを確認して、すかさずガッツポーズ。
「よっしゃ! やべー! スタメン決まった時より嬉しい! ありがとうございます!」
おいそれは言い過ぎだろ。
予想以上に喜ぶ彼に、自然と微笑ましく思った。