しつこいよ、長谷部くん
そこで試合終了の笛が鳴る。
結果は1点差で私のチームの負け。
あの最後の長谷部くんの1点が無ければ、同点で終われたのに。
あんなヘマいつもはしないのに。
部活終了後の私は、珍しく目に見えて落ち込んでいた。
爽やかな風が私を包んで少しだけ心が落ち着いてきたのも束の間。
体育座りをして、腕の中に頭を入れ込む私は腕の中で顔をしかめた。
「まーたり先輩」
私の肩を、長谷部くんがつついたのだ。
「……来んな」
「やです。こんな風になってるまーたり先輩レアだし? ほっとけるわけないじゃないすか」
「………うぜぇ」
「はいはい、ありがとうございまーす」
にっこり笑顔を絶やすことなく、隣に座る長谷部くん。
「…ミスは誰にでもあります。だから、そんなに落ち込むことないですよ」
「……」
まあ、一理ある。
だけど、ミスは仲間に迷惑がかかるから。
「今日の失敗で成長できるでしょ、失敗はいい経験ですよ?」
「……」
それも一理ある。
だけど、今回のは長谷部くんがいたからミスしたのだと思う。
「せーんぱい」
楽しそうな声が頭上から聞こえて、不機嫌気味な私は眉根を寄せながら顔を上げた。