しつこいよ、長谷部くん
普段はクールビューティなんて称される私だが、部活となるとそれとは別になりいじられキャラになる。
なんでこうなったのかよくわからないけれど、部活は自分を出せる場所となり大好きな場所である。
「……あ、部活のメンバーと一緒に文化祭回ってもよかったな」
今更ながら、そんなことを口に出してポツリと言う私。
なんで部活のメンバーがあの時出てこなかったんだろう。
おかげで長谷部くんと文化祭を回ることになってしまった。
文化祭の時にはもう部活を引退しているから、彼とは久々に会うことになるのかな。
……だったら、長谷部くんと回ってあげてもいいか。
だいぶ長谷部くんに対して甘い考えをするようになったな、と頭の片隅で思いながら前方を見て、私は足を止めた。
校門付近に立つ好青年を見つけたのだ。
「まーたり先輩……!」
うう、なんだかさっきのを思い出すと少し顔をあわせるのが恥ずかしいな。
「な、なんだね」
わざとらしく彼から顔を逸らして、そう返す。
長谷部くんは、ふふ、と笑った。
「まーたり先輩、一緒に帰りませんか?」
何を改まって。
いつも勝手に私を待ち伏せて一緒に帰るくせに。