しつこいよ、長谷部くん




去年からスタメン入りしていた長谷部くんは、監督からの信頼が厚く今年は背番号3を背負ってスタメン入りしている。


要は、彼だって〝 スタメンイレブン 〟の1人なのだ。



黙っていれば爽やかなイケメンだし、ファンクラブあるくらいモテモテだし。


サッカーの技術高いし、認めたくないけれどちょっと尊敬してたりするし……。


……だからといって、イケメンに目がくらむ私じゃないのだ。



「で、何の用?」


「わー先輩、目線がつめたーい」



だけどしつこい彼は、またしても私の冷たい反応をヘラヘラと弾き返すのだ。



「で?」


「あわわわ、怒んないでくださいよー」


「怒ってないから早くしゃべろよ」


「はぁい。それでは、よっこらしょ」



カレーパンを食べ終えクロワッサンに手を伸ばした私に、長谷部くんが正座をした。



「何してんの」


「まーたり先輩っ、一緒に文化祭見て回りませんか!」



拳を足の上に置いてピシッと背筋を伸ばす長谷部くん。


何を言い出すかと思えば、そういうことか。



「あのさ、文化祭はまだまだ先なんだけど」


「わかってます! でも先輩人気者だから、予約取らなきゃ心配なんです!」


「……ほう」



うーん……どうしたものか。




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