《短》森田の女嫌いも何のその。
店を出る私と森田。
森田の手には、明らかにラッピングされたシュシュが入っているであろうビニール袋。
「…付き合わせてわりぃな」
「ううん!…こんなんでいいなら、私はいつでも付き合うけど」
「遠慮する」
「はぁ?」
人がせっかくさ?気を使ってさ?
いや、森田と放課後まで一緒にいられて幸せなのは確かに私だけど。
でも、遠慮するなよ!そこは。
「…冗談」
「やめてよ、全然笑えない」
「笑えよ、本当に可愛くねぇな」
…そもそも、私に可愛さを求めるのが間違いだ!彼女でも…あるまいし。
「ごめんね可愛くなくて」
「何謝ってんだよ、冗談だろ」
「それ、可愛いって言ってるの?」
「いや、それはない」
「ねえ、傷ついたけど。今すごい傷ついたけど!」
歩きながら訴える私を、何も聞こえてないみたいにスルー決め込んだ森田は言った。
「じゃ、またな。チビ」
「え…、っ…チビじゃない!」
もう分かれ道。森田は真っ直ぐで…電車の私は左折、か。
ヒラッと片手を上げて振り向くこともない森田は、私との分かれ道なんてどうってこと無さそう。
私は……こんなにも寂しい。
本当は、シュシュだって…私に?ってほんの少し期待してた。
…やっぱり、全然 縮まってなんかない。私と森田の距離は、出会った日のままだ。